2022年度第八回GBSセミナー(2023/1/23 17:30@理学部一号館336)

講演者:小暮敏博 教授

場所:理学部1号館336号室

演題:原発汚染土壌の研究を振り返る

要旨:
2011年3月11日の東日本大震災は阪神淡路大震災とともに戦後最大の自然災害となり、それによって引き起こされた福島原発事故は放射能による未曾有な環境汚染をもたらした。原発から周囲に飛散沈着した放射性セシウム(RCs)がどのような状態で環境中に存在するかは、今後の汚染の推移と効率的な除染法を考えるための最も基本的な情報であり、小暮研究室ではこの11年間、福島汚染土壌中のRCsの存在形態などを明らかにする研究を続けてきた。その中で、土壌中でRCsを吸着固定している鉱物種とそこからの脱離特性、さらに破損した原子炉から直接飛散したRCs含有放射性微粒子の本質とその諸性質などを報告した。そこでは粘土鉱物のこれまでの研究の蓄積と電顕による微小領域の分析技術が活用されてきた。本発表ではこれまでの研究の経緯を振り返り、今後さらに明らかにすべき問題について考える。