2025年度第2回GBSセミナー(2025/5/19 17:30)

日時:2025年5月19日(月) 17:30~18:30(発表45分,質疑15分)

講演者:南舘 健太(助教)

場所:理学部1号館105号室

演題:「古台風学:堆積物から台風を探る」

要旨:
台風やハリケーン等の熱帯低気圧は,沿岸の地形を大規模に改変し,人類社会を含む生態系に大きな影響を及ぼす気象擾乱である.人為起源の地球温暖化が,熱帯低気圧の発生パターンや経路を変えることが危惧されている.しかしながら,数十年程度の短い衛星観測記録からのみでは,百年スケールの長期的な変動を捉えることができない.地質記録を利用して過去の熱帯低気圧活動について調査する学問は”Paleotempestology”と呼ばれ,近年注目を集めている.対応する日本語の学術用語は定まっていないが,これを訳すれば”古台風学”と言えよう.本発表では,草創期にある古台風学に関して用いられる代理指標や課題をレビューする.また,発表者が進めている奄美大島(琉球列島)と南島(小笠原諸島)の堆積物を利用した古台風復元に関する研究事例を紹介する.