2024年度第7回GBSセミナー(2024/12/23)

日時:2024年12月23日(月) 17:30~18:30(発表45分,質疑15分)

講演者:平田岳史 教授

場所:理学部1号館105号室

演題:金属元素と生体分子の同時分析に向けて

要旨:
私達は20年以上にわたり超微量元素分析や精密安定同位体分析を行ってきました。今から7年前(2017年)のGBSセミナーでは、(1) 高速イメージング分析技術、(2) 高感度高速ナノパーティクル分析、(3) 質量分析法と分光法による複合分析法の3課題を最重点課題にとりあげ研究開発を進めると説明させていただきました。こうした研究開発を通して、金属イオンの濃度・分布情報だけでは元素の挙動・動態を正確に把握することは難しいことも明らかとなってきました。特に生命化学分野では、金属の生体機能や代謝機構を理解するためには、金属元素の存在形態、例えば金属元素がどのような生体分子と結合しているかを知ることは非常に重要です。こうした背景から、私達は質量分析法を用いて金属元素と生体分子の同時分析手法の開発をはじめました。生体分子は膨大な数のものが混在しており、それらの中から特定の微量標的分子を検出するのは容易ではありません。そこで私達は、ターゲット分析とノンターゲット分析の両方の特徴を活かし、金属元素と生体分子の同時検出法の開発に取り組んでいます。現在、どのような分析が可能となったのか、また現時点での課題は何かを紹介させていただきたいと思います。今回の同時分析技術の実用化は簡単なことではありませんが、新しい分析手法の開発こそが新しい学問分野の創成につながると信じて研究に取り組んでいます。
Measure what is measurable, and make measurable what is not so. ― Galileo Galilei