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2018年度臨時GBSセミナー:機械学習と画像認識(7/17実施)

セミナーには13名の参加者がありました。講師を務めていただいた片岡さんはじめAcroquestの皆さんにお世話になりました。

■概要
タイトル:機械学習・AIを活用した画像認識に挑戦するセミナー
日時:2018/07/17(火) 15:00~18:00
場所:東京大学本郷キャンパス理学部1号館331号室
参加費:無料
対象:①Pythonの基本文法がわかる方
※プログラミング初心者、Python未経験者の方は、
以下の無料PythonセミナーのChapter1~3を実施してください
https://aidemy.net/courses/3010
②ノートPCを持参できること。(スペックは以下を参照)
Windows:Windows7以上(64bit推奨)、メモリ4GB以上、HDD空き容量10GB以上
Mac:10.8.5以上、メモリ4GB以上、HDD空き容量10GB以上

申込:人数に限りがありますので、以下のGoogleフォームから事前に申し込みください。
https://goo.gl/MFfHyb

 

 

■事前準備
当日持参するノートPCに以下の準備をお願いします。

1. Anaconda3 4.2.0をインストールする
下記のリンクからダウンロードしたものを実行してください。

Windowsの場合:
https://repo.continuum.io/archive/Anaconda3-4.2.0-Windows-x8

Macの場合:
https://repo.continuum.io/archive/Anaconda3-5.1.0-MacOSX-x86

2. tensorflow, keras, cognitive_faceをinstallする
コマンドプロンプト、terminalなどで、
「pip install tensorflow」「pip install keras」「pip install cognitive_face」を実行する。
※インターネット接続が必要です。

3.MicrosoftAzureアカウントを作成する。
(無料です)
以下の記事を参考にアカウントを作成してください。

https://qiita.com/shinyay/items/a6106936b4a640ab0dc4

■詳細

自動運転、Amazonのレコメンデーション、医療診断など機械学習を取り入れた応用例はニュースでも耳にすることが多い今日この頃です。

また、地球惑星科学の分野において、画像を機械学習で分析することが多くあります。
これまで、衛星や探査船から送られてくる、ノイズの多い画像と大量の情報を比較し、実際の宇宙の様子をイメージします。
機械学習やAIを利用することによって、ぼやけたノイズ画像をよりシャープにできます。
もしくは、地球型の系外惑星を光スペクトル分析において発見する作業も、これまで人間が数日から数週間
欠けていた分量を、機械学習を使うことで数秒で終わらせることができます。

近年、機械学習を取り入れた宇宙科学分野は、自動化が格段に進み、歴史を変える発見を行う準備ができているといえます。
だからこそ、機械学習を活用して効率的に、研究を行えるようになることが大切だと考えています。

そのために、画像認識を機械学習で行うセミナーを通して、研究分野や社会での実際的な活用をできるようになってもらうためのセミナーを用意しました。
講義を聴くだけでなく、実際に手を動かしてもらい、使えるようになってもらうことを目的としているため、ノートPCを持参してもらうことを条件とさせてもらっています。

今回は、実際にまず動かしてもらいたいので、題材は人間の画像をテーマに選択させてもらいます。
まず、触ってもらい、次に研究で活かしてもらう。
多くの場合、導入障壁がどうしても高く感じるのが、最初の一歩だと思います。
私自身も最初の一歩で、詰まったのをよく覚えています。。。

だからこそ、後輩がその一歩を踏み出せるようにするサポートを微力ながらできたらと思っています!

質問等はお気軽に東大地惑OB片岡まで。
Mail:tokyo.u.seminar@gmail.com
TEL:045-476-3171

 

2018年度第三回GBSセミナー(6/25実施)

日時:2018年6月25日 9:20〜15:30
場所:理学部一号館331号室

D2
9:20-10:00 槇納好岐(平田研)
コンドライト隕石の微量元素分析による太陽系の化学進化の解明
10:00-10:40 栗栖美菜子(高橋研)
エアロゾル中人為起源鉄の同位体分別過程の理解と海洋表層へのその寄与の推定
10:40-11:20 宮本千尋(高橋研)
東アジア地域における硫酸と鉱物粒子の大気中反応過程の解明
11:20-12:00 雨川翔太(狩野研)
日本各地の石筍を用いた過去15万年間の高解像度陸域古気候復元

<昼休み> 

D3以上
13:30-14:20 菊池亮佑(小暮研)
微小領域分析に基づく阿武隈花崗岩風化帯における黒雲母の風化プロセス:鉄の酸化と層間イオンの置換反応の関係について
14:20-15:10 石川彰人(遠藤研)
軟体動物 Lymnaea stagnalis の貝殻プロテオーム解析:機能的に重要なタンパク質同定への新たなアプローチ
15:10-16:00  太田雄貴(川幡研)
インド夏季モンスーン降水量変動に起因したインド洋北東域の海底堆積物供給源変動

2018年度 第二回GBSセミナー(5/28実施)

「原生代後期における酸素増大とミトコンドリア変則遺伝暗号の進化」

地球大気中の酸素は、酸素発生型光合成の進化により、22-24億年前の大酸化イベント(GOE)で初めて大量にもたらされ、その後、「カンブリア爆発」の前(7-5.4億年前)にさらに増大し、古生代(約3億年前)に現在より高い濃度を経験した後に、現在のレベルに達したと考えられている。酸素増大は、地球史上最大の環境変動イベントであり、酸素呼吸の進化、酸素防御機構の進化、生体必須金属の環境中の濃度変化など、生命に多大な影響を及ぼした。そのような影響の一つとして、つまり酸素増大が原因となって、動物のミトコンドリアDNAにおいて普遍暗号から逸脱した変則遺伝暗号が進化した、という仮説を紹介する。動物のミトコンドリアゲノムは独自のリボソームRNA(rRNA)と転移RNA(tRNA)をコードしており、核ゲノムとは異なる翻訳システムをもつ。そこではUGAがトリプトファン(Trp)、 UAAがチロシン(Tyr)、AUAがメチオニン(Met)をコードするなど、普遍暗号とは異なる遺伝コードが用いられていることが知られ、それらは普遍暗号から逸脱する形で進化したと考えられている。従来その進化は、ミトコンドリアゲノムのGC含量の変化に呼応して、中立的に進化したと解釈されてきた(Osawa, 1995など)。一方、Granold et al. (2017)は、量子化学計算と生化学実験からTry、Tyr、Metなどのアミノ酸が他のアミノ酸に比べ酸素との反応性が高いことを示し、これらのアミノ酸の遺伝コードは、細胞内の酸素ストレスを軽減するために、他の遺伝コードよりも後に適応的に進化したと解釈した。動物ミトコンドリアゲノムの変則遺伝暗号については、まだ得られている知見が断片的である。今後、次世代シーケンサーとタンデム質量分析計を用いたトランスクリプトーム解析とプロテオーム解析により、異なる酸素ストレス下に生息する数多くの動物分類群のミトコンドリア変則遺伝暗号を比較することにより、上記の仮説を検証する必要がある。

2018年度 第一回GBSセミナー(4/23実施)

講演者:鈴木 庸平 准教授 (地球惑星科学専攻)
日時:4月23日(月)17:30~
場所:理学部1号館710号室

「生命誕生の謎を始原生命体から探る」
生命の起源の研究は、化学進化、地質記録、生命情報等を編纂して仮説が
立てられているが、そもそも海で誕生したのか、陸で誕生したのか、地球外で
誕生したのか定かではない。その一方で、地球上の微生物研究の進展により、
ゲノムの普遍系統樹で共通祖先に近く始原的な特徴をもつ原核生物が、
陸上の地下、しかも火成岩体深部を楽園として生息することが明らかになった。

この発見は一体何を意味するのか?生命誕生は海ではなかったのか?等々の
疑問についてセミナーで討論したい。

2017年度第八回GBSセミナー(2/9実施)

[:ja]講演者:陳 剑波 先生 (Dr. Jianbo Chen) 雲南大学 (Institute of Deep Time Terrestrial Ecology, Yunnan University, Kunming, China)
場所と時間:2月9日(金)15:00~ 336号室
内容:ペルムートリアス境界での絶滅イベントおよび,2月末からの海外巡検と雲南大学の紹介も含まれています。

Title: Paleoenvironment reconstruction around P/T boundary in South China as well as brief introduction of geology in Yunnan Province

Summary
The End-Permian Mass Extinction (EPME) happened around 252 Myr ago was the severest crisis during Phanerozoic, with a loss of ~ 75-95% of species on Earth. The paleoenvironmental perturbations coincident with this mass extinction and its aftermath in Early Triassic attracted extensive attention during last decades. Many researchers brought significant accomplishments, however, there remains disagreement, such as correlations between PTB sections in terrestrial facies. Eastern Yunnan and Western Guizhou area is potentially ideal place to stratigraphic correlation and paleoenvironment research.
As the first time to visit the University of Tokyo, the main purpose that I come here is enhancing understanding and strengthening cooperation with each other. Therefore, this talk will be subdivided into four parts: 1) A brief introduction to our research group in Yunnan University. 2) Paleoenvironment reconstruction from the Latest Permian to Early Triassic based on geochemical proxies of conodont in South China; this part of work was my research background and most of them I finished as a PhD student in China University of Geosciences-Wuhan. 3) Recent investigations on filed geology, stratigraphic correlation and paleoenvironment reconstruction for several classic terrestrial PTB sections in Eastern Yunnan and Western Guizhou area. 4) Brief introduction of geology in Yunnan Province.

[:]

2017年度第七回GBSセミナー(12/25実施)

[:ja]日程 : 2017年12月25日(月)
時間 : 18:00 – 19:00
会場 : 理学部1号館839号室

講演タイトル:誰も眠ってはならない ~ 微量元素分析の次にくるもの

講演:平田 岳史 教授(地殻化学実験施設)

要旨:
 私達は20年以上にわたり超微量元素分析や精密安定同位体分析を行ってきました。かつては専門的な知識や高度な分析技術をもつ者だけが入手できた化学情報が、最近の急速な分析技術の進歩により、多くの研究者が最先端化学データ(重元素安定同位体、精密年代、元素イメージング情報、等)を活用できるようになりました。こうした分析手法の開発動向は、端的に言えばデータの精密化(高精度化)や高感度化、さらには分析空間分解能の向上という、既存の技術の”延長線上”にあったと言えます。その一方で、分析要請は飛躍的に硬度化・多様化しています。将来の地球科学あるいは環境科学分野の分析要請を応えるためには、これまでの延長的研究開発は通用せず、思い切った方向転回、あるいは革新的な技術導入が必要となってきています。こうした背景を受け私達は、(1) 高速イメージング分析技術、(2) 高感度高速ナノパーティクル分析、(3) 質量分析法と分光法による複合分析法、の3課題を重点的研究開発課題にとりあげ、これから5年間で集中的に研究開発を進めようと考えています。どのような目的で、またどのような手法でこれらを実現しようとしているのかを議論させていただきたいと思います。[:]

2017年度第六回GBSセミナー(11/27実施)

[:ja]日程: 2017/11/27 Mon. 17:30-
場所: room 710@Science building #1
話題提供:佐々木 猛智 准教授(総合研究博物館)

演題
生物の多様性を解明する

要旨
多様性は生命の特徴のひとつであり、形の多様性、種の多様性、生息環境の多様性、化石記録の多様性のように様々な観点からの生物多様性の研究が行われている。現在の地球上に膨大な種数の生物が存在していること、あるいは地球史を通じて多様な生物が進化してきたことを示す直接的な証拠資料が標本であり、博物館はそのような標本を収蔵する場所として機能している。本セミナーでは、生物多様性研究の研究手法の例として、(1)生物多様性情報学、(2)形の3D化、という2つのトピックを紹介する。(1)生物多様性情報学は生物多様性研究と情報学の融合を表す概念である。近年では博物館標本のデータをデジタル化し、いつどこにどの生物が存在していたかという情報を地球規模で収集し、解析するプロジェクトが進行中である。現生種の場合はDNAバーコーディングとも連動しており、絶滅危惧種種の保全や環境影響評価に応用されている。古生物分野の例としては現在我々が構築中の「日本古生物標本横断データベース」を紹介する。(2)形の3D化:生物の形の多様性を研究する場合、従来は、薄片、組織切片、電子顕微鏡等により細部を詳細に観察する手法が用いられてきた。それらに加えて近年注目されているのが形の3D化である。博物館でもX線マイクロCTを導入し、小型標本、微小標本を精密に3D化するための研究を行っている。現在の技術の限界と有用性、今後の課題について紹介する。

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2017年度第五回GBSセミナー(10/30実施)

[:ja]2017年度第五回のGBSセミナーは、板井 啓明准教授による着任セミナーです。

日程: 2017/10/30 Mon. 17:30-
場所: room 710@Science building #1
話題提供:板井 啓明 准教授(理学系研究科・地球惑星科学専攻・生命圏科学大講座)
題名: ヒ素と水銀の環境地球化学
要旨:本発表では、これまで取り組んできた研究と、これからの展望について紹介したい。私は2004年から研究を始め、微量元素が関わる環境科学的な研究テーマに幅広く取り組んできたが、地球化学的な色合いの強いテーマとしては①ベンガル平野におけるヒ素汚染地下水の形成機構、②琵琶湖湖底の低酸素化にともなうマンガン・ヒ素の動態変化、③水銀安定同位体比を指標とした生物地球化学的研究、が挙げられる。このうち、それぞれ地質学・生態学との接点が強い①と③のトピックについて発表する。
 地下水ヒ素汚染は、南~東南アジアを中心に世界の各地で顕在化している問題である。多くのケースで、ヒ素は自然由来と考えられており、ヒ素が地下水に溶出しやすい地質的・地球化学的特徴の把握が求められてきた。演者はバングラデシュ中東部のSonargaon地域で地形地質踏査、地下水・堆積物採取と化学分析を実施し、とくに堆積物-水間のヒ素の分配とその支配要因について詳しく調べてきた。その内容を紹介する。
 水銀は、顕著に高い揮発性を有すことや、環境中で有機化して高い生物濃縮性を示すことから、金属でありながら生元素に近い挙動を示す。主に石炭燃焼により大気中に放出され、その大気中濃度は産業革命以前と比較すると約三倍に上昇したと推定されている。これら水銀の海洋への移行や、その後のメチル化過程を詳細に明らかにすることは、魚介を介したヒトへの移行リスクを推定する上で重要である。発表では、北西太平洋のカツオ中水銀安定同位体比に関する演者の研究を紹介するとともに、地球化学的プロキシとしての水銀安定同位体比の特性についても解説する。[:]

2017年度第四回GBSセミナー(9/19実施)

修士課程学生中間発表会

日時:2017年9月19日(火)14時〜
場所:理学部1号館710号室

14:00 福山 鴻「高温高圧下における下部マントル主要鉱物への窒素の固溶」
14:30 三浦 輝「原発事故由来のセシウムの河川における固液分配:熱力学モデルを用いた考察と放射性微粒子による影響の定量化」
15:00 佐々木 智啓「ナミビア産Pteridinium simplexに見られる左右性」
15:30 吉澤 和子「頭骨のCTスキャンデータを中心とした魚鰭類Utatsusaurus hataiiの骨格形態の再検討」
16:00 休憩
16:15 山本 大輔「カサガイ類の貝殻に記録される年齢形質」
16:45 前田 歩「リーフに生息する大型底生有孔虫の環境指標としての潜在性」
17:15 梶田 展人「浅海堆積物を用いた長江デルタの環境変遷史復元と長江稲作文明の盛衰」