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炭酸塩岩中には,炭酸塩以外の鉱物が堆積直後の初期続成作用にともなって,自生鉱物として晶出する.これらの鉱物は,堆積物の孔隙を充填したり,炭酸塩鉱物を交代する形で成長する.
本章では,堆積環境の指標として重要な自生鉱物として,1) アパタイト,2) 緑泥石,3) 黄鉄鉱の3つを解説する.この他,「5.5. 交代作用」でも石英やホタル石についての説明を加えているので,そちらも参考にされたい.
アパタイト:アパタイトを作るリン酸イオンは重要な栄養塩の1つであり,海水中を生物を媒介として循環する.アパタイトなどのリン酸塩鉱物は生物骨格としても生成するが,局所的(あるいは時代的)に過飽和になった環境で沈澱する.現世環境では,湧昇水が発生している場所で最も堆積しやすく,そこでは,微生物が行う有機物分解と鉄マンガン水酸化物の還元によりリン酸塩濃度が高くなり,堆積物/水インターフェースでリン酸塩鉱物の沈澱が起こり,海底での水流による洗い流しや運搬により濃集する (Follmi, 1996).また,時代的に見ると新原生代後期〜カンブリア紀初期 (Brasier, 1992),後期ジュラ〜白亜紀,古第三紀にリン酸塩堆積物が多く発達した事が知られている.
緑泥石:アルミノシリケイトの一種である.一般に,堆積速度が遅い浅海で沈澱し,堆積間隙面に沿って濃集することが多い.時代的に見ると,カンブリア〜オルドビス紀 (Chafetz and Reid, 2000) や白亜紀に多い.
黄鉄鉱:様々な環境で晶出するが,化学的には鉄イオンと硫化水素が水中に含まれている必要がある.炭酸塩岩の堆積環境では,硫化水素は主に硫酸還元バクテリアによる有機物の分解で発生する.そのためには,環境が還元的で硫酸イオンを含んでいる必要がある.黄鉄鉱は,正六面体などの結晶学的に安定な形態をとる他に,微小な球体の集合体 (framboidal pyrite) として沈澱する事もある.
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