Skeletal grains
生物遺骸粒子
生物遺骸粒子は極めて多様であり,薄片観察の際に,その同定が最も難しい.さらに,顕微鏡では,骨格の一部が観察出来るだけであり,外形・骨格構造・微細組織等の限られた情報から判別しなければならない.それには,多くの知識が必要であり,炭酸塩堆積学を始める学生にとって1つの難題である.
しかし,いくつかのヒントがある.ここでは,炭酸塩鉱物について説明する.生物が分泌する炭酸塩鉱物は方解石とアラレ石の2つである.常温常圧条件では,アラレ石は方解石に比べて不安定であり,初期の続成作用により,より安定な方解石へと変化する.その変化の過程で,普通は,アラレ石骨格にあった初生的な微細構造は消失し,モザイク状のスパライトになる.
この事を用いて,遺骸粒子の同定がある程度可能になる.例えば,腕足動物と二枚貝(軟体動物)の骨格は,薄片上の外形だけでは区別出来ない.しかし,左表に示す様に,両者の鉱物組成は違う.腕足動物の骨格は成長線などの微細組織を保存しているのに対し,二枚貝の骨格は,ほとんどの場合,モザイク状のスパライトで構成されている.同様の違いは,六射サンゴと四射サンゴにも認められる.
本章では,生物遺骸粒子を15のグループに分けて解説する.また,「2.7.1. 紡錘虫」と「2.7.2. 古生代小型有孔虫」は主要な属を網羅しており,これを参考に,石炭〜ペルム系の石灰岩を観察すれば,試料の年代決定にとって大いに役立つと思われる.より,深く学びたい人には,Flugel (2004) などの教科書を薦める.
Preface
Authers
Index
References
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