Intraclasts
イントラクラスト
イントラクラストは海底で固結した炭酸塩堆積物が波のエネルギーや生物の穿孔によって破壊されできた粒子と定義された.Folk (1959) はこれを最も高エネルギーの堆積環境で出来る粒子のタイプと考え,炭酸塩岩の分類において重要視した.しかし,生物擾乱でも同様の粒子が生成することから (Wobber, 1965),必ずしも高エネルギー環境の指標にはならない.また,陸上での侵食作用や土壌環境でできた石灰岩礫 (Esteban and Klappa, 1983; Strasser, 1984; Leinfelder, 1987) との区別は難しく,これらもイントラクラストとして扱われることが多い.石灰岩の堆積年代と礫の堆積年代が大きく異なる場合(例えば,第四紀石灰岩中に古生代の石灰岩礫が存在している場合),エクストラクラスト (extraclasts) もしくはリソクラスト (lithoclast; Folk, 1962) という言葉が使われることがある.この他,テクトニックな原因により,石灰岩が崩壊し,エクストラクラストに類似した構造が出来る事もある (Sano and Kanmera, 1991c).

イントラクラストは様々な起源を持つが,特に重要なものを以下に解説する.
リーフクラスト (reef clasts)−生物礁は波や流れのエネルギーが大きい場所で発達し,海底で石化した急傾斜の堆積体を作るために,そこでは,様々なサイズのイントラクラストが生成する.これらは,主に海側の礁斜面に堆積する.
黒色ペブル (black pebbles)−潮上帯で生成した暗灰色〜黒色で不定形の礫.土壌中の植物を起源とした有機物が,固化していない炭酸塩粒子の表面に沈着したものと考えられている (Bain and Foss, 1993).これは,堆積場が陸上に露出したことを示す構造であり,海水準変動の復元に用いられている (Nakazawa and Ueno, 2004).
石灰質扁平礫 (flat pebbles)−炭酸塩の同時礫からなるレキ岩で,礫の形態が断面において扁平なものを言う.潮間帯に産出するもの(乾裂痕のマッドポリゴンが浸食されたもの)と,潮下帯に産出するもの(半固結〜固結状態の石灰岩層が海底で嵐の波浪によって浸食されたもの)が知られる.後者の場合,礫の長軸が流れの方向と平行になるため,古流向の解析に用いられる (Lindholm, 1980).

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Authers
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