ペロイドはミクライトで構成されている小さな(直径30〜200ミクロン)の粒子の総称であり (McKee and Gutschick, 1969),鏡下では微細構造が不明瞭な不透明粒子として観察される.内部には細粒の砕屑粒子や生物遺骸粒子を含むものもあるが,特徴的な内部構造は示さない.起源は以下に示す通り様々であり,顕微鏡観察のみでは判定することが困難な場合がある.
1) Fecal pellets(糞源ペレット):環形動物や節足動物等のフンが海底で急速に固結し,化石として保存されたもの.大きさや形がそろっている.単にペレットと呼ばれることも多い.内部のミクライト粒形・粒径は不ぞろいで,不規則な配列をしている.
2) Algal peloids:石灰藻骨格が破壊され小径の粒子になったもの (Wolf, 1965).大きさがそろっていないこと,形が角ばっていること,内部には石灰藻骨格の微細構造が保存されていることもある.また,石灰質マイクローブの破片を起源としたものも,このカテゴリーに含まれる (Coniglio and James, 1985).
3) Mud clasts (あるいはmud peloids):海底で固結した石灰泥の破片.形が不規則である.粒子の起源はイントラクラストと同じである. 4) Micritised grains:穿孔性微生物により粒子全体がミクライト質になったもの (Bathrust, 1971).被膜粒子と共産する.
5) Peloidal cement:セメントの一種で,Mg 方解石の核が海底で結晶成長をすることにより出来たもの (MacIntyre, 1985).大きさ・形・分布密度が均一であること.直径は30−50ミクロン に集中し,他の起源のペロイドに比較して小さい.ミクライト粒子に規則的配列が認められる.また,微生物活動に誘導されて沈澱したペロイド (Chafetz, 1986; Reitner, 1993; Adachi et al., 2004)も同様の組織を持つ.
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