炭酸塩岩をその鉱物組成によって分類した場合,石灰岩と苦灰岩に2分されるが,これら2つの岩石名の他にも,よく使われるものがある.ここでは,マール岩・チョーク・カーボナタイトについて解説を加える.
マール岩−細粒の炭酸塩と粘土粒子からなる岩石であり,泥灰岩とも呼ばれる.炭酸塩と粘土の割合は互いに30〜70%ほどであり,粗粒の構成物を含むことはほとんどない.低エネルギーの沖合環境もしくは湖水環境で堆積したものが多い.明瞭な堆積性の層理面は発達しない事が多いが,後の続成作用により,炭酸カルシウム成分が移動して,層状・レンズ状に濃集することはある (Einsele, 1982).
チョーク−微粒炭酸塩粒子からなる孔隙質な炭酸塩岩.マール岩との違いは,1) 粘土構成物をほとんど含まないこと,2) 微粒炭酸塩の多くがナノプランクトンの骨格(ココリス)である点である.白亜紀に多く,イギリスのドーバー海峡の海崖に見られる白いチョーク層は,「白亜」の語源である.
カーボナタイト−炭酸塩鉱物(方解石・ドロマイト)を主要構成鉱物とするマントル起源の火成岩であり,堆積岩ではない.過去においては,石灰岩が変成あるいは溶融して生成したと考えられていたが,単にアルカリ火山活動に関連したものも炭酸塩を主成分とする岩石として生成可能である.カーボナタイトの産地は安定した大陸地域や地溝帯に限られ,特にアフリカの大地溝帯に多い.ここでは,その火山灰により埋もれた産状で,保存良好な人類化石が発見されている.
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