秋吉台の石灰岩類は秋吉石灰岩層群と呼ばれ,玄武岩の部分を含めると総厚は1,000m程度と見積もられる.石灰岩は保存の良い初期石炭紀 (middle Tournasian) から中期ペルム紀 (Midian) までの海生化石を多産する.本層群の化石年代を最初に検討した小澤儀明 (1932) は紡錘虫による化石帯を提唱し,秋吉台の石灰岩体が逆転層であることを示した.生層序学的研究は,その後も続けられ,Ozawa and Kobayashi (1990) は,47の小型有孔虫化石帯と42の紡錘虫化石帯を提唱している.
本項では,以下に示す様に,山口県秋吉台での,1) 露頭,2) 鏡下での堆積/続成構造,3) 砕屑性の岩相,4) 礁性の岩相,5) 化石について掲載した後で,6) 宮城県岩井崎の下部ペルム系石灰岩について解説する.